IPOコラム

内部監査を実施する上での社内諸規程の確認・整備(改訂)のポイント

■ 本題とは別に、IPO準備における内部監査関連のコラム掲載しておりますので、ご覧ください。

▶ IPO準備における内部監査とは
▶ IPO準備における内部監査運用前に確認すべき主なポイント   
▶ IPO準備における内部監査のスケジュール
▶ IPO準備における内部監査の外部活用(アウトソーシング)  
▶ IPOにおいて「内部監査」に役立つ資格   
▶社長が知っておくべきIPO準備における内部監査のコスト    

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はじめに

IPO準備における内部監査運用前に確認すべき主なポイント】のコラムにて、内部監査運用前(導入フェーズ[n-3期])に実施すべき内容に触れましたが、今回は「社内諸規程の確認・整備(改訂)」にフォーカスして、そのポイント等をご説明します。

1.社内諸規程の整備

内部監査運用前(内部監査導入フェーズ)に、まず確認しなければならないのが「社内諸規程」です。「社内諸規程」が整備されていなければ、そもそも内部監査を運用できません。社内諸規程は、「基本規程」「組織関係規程」「経理関係規程」「業務関係規程」「総務関係規程」「人事関係規程」「コンプライアンス関係規程」「その他規程」などに大分類され、IPO準備においては、社内諸規程を明確化し、内部統制を確立させ、会社の財産の保全や効率的な経営が行える社内管理体制の整備が求められます。
そこで、内部監査導入フェーズ(n-3期)に、整備すべき一般的な諸規程を一覧化しましたので、参考にしてください。
また、各諸規程の頭に「●」と「△」を記しています。「●」は内部監査導入フェーズ(n-3期)に整備すべき規程、「△」は運用フェーズ(n-2期末まで)に作成の目安としてください。(なお、会社ごとに機関設計や業種などにより必要な規程は異なります)

1.基本規程
定款
取締役会規程
規程管理規程
監査役監査規程
監査役会規程
株式取扱規程
関係会社管理規程
会議体規程
インサイダー取引防止規程
関連当事者管理規程
適時開示規程
2.組織関連
組織規程
業務分掌規程
職務権限規程
稟議規程
3.コンプライアンス関連
コンプライアンス規程
リスク管理規程
ソーシャルメディア利用管理規程
内部監査規程
内部通報規程
4.経理関連
経理規程
勘定科目取扱規程
連結財務諸表作成規程(連結対象の子会社がある場合のみ)
原価計算規程
予算管理規程
棚卸資産管理規程
棚卸資産管理規程(棚卸実施要領)
固定資産管理規程
有価証券管理規程
5.業務関連
販売管理規程
与信管理規程
債権管理規程
仕入管理規程(購買管理規程)
外注管理規程
出退店管理規程
6.総務関連
文書管理規程
印章管理規程
慶弔見舞金規程
個人情報保護規程
マイナンバー管理規程
企業機密管理規程
マイカー通勤管理規程
車両管理規程
反社会的勢力対応規程
反社会的勢力対応規程(反社会的勢力対応に関するマニュアル)
反社会的勢力対応規程(取引先の属性チェックに関するマニュアル)
出張旅費規程
育児・介護休業等規程
母性健康管理規程
安全衛生管理規程
ハラスメント規程
クレーム管理規程
知的財産管理規程
7.人事関連
就業規則
パート・アルバイト就業規則
役員規程
執行役員規程
嘱託規程
給与規程
役員報酬規程
退職金規程
役員退職慰労金規程
人事考課規程
8.システム関連
情報セキュリティ管理規程
ソフトウェア管理規程
その他

2.内部監査と社内諸規程確認・作成(改訂)のポイント

前述しましたが、IPO準備においては、さまざまな社内諸規程を明確化し、会社の財産の保全や効率的な経営が行え、また、法令遵守の視点から内部監査を行なわなければなりません。

そこで内部監査(導入フェーズ)において、社内諸規程の文中に次の文言に対する規定(ルール)が明記されているのかを今一度、ご確認ください。会社規模や業種等により異なりますが、内部監査を行なう上で、重要なポイントの一例となります。

また、本内容を理解していただくことで、内部監査(実査)の際に使用する「内部監査チェックリスト」作成時のポイントとなりますので、参考としてください。

【規程全般】
・定款「事業目的」の見直しを行っているか。
・規定している内容が、法令に違反していないかどうかの確認を行っているか。
・各部門、各職位の責任と権限を明確化しているか。
・規程ごとに改廃権限を明確にしているか。
・規程ごとに所管部署を設けているか。
・規程は、文書配布または社内ポータルサイト等により周知を適時行っているか。
・規程は、所管部門が主体となり、適時見直し等を行っているか。
・規程、細則、実施要領、通達等の区分を体系化し、迅速な改廃ができる組織体制か。
・規程には、目的、内容、責任者、運用、手続きを明確に記載しているか。
・各規程間に漏れ・重複・矛盾は生じていないか。
 ほか
【経営組織】(組織規程など)
・経営組織各部門の責任・権限は明確か。
・内部牽制を取り入れた業務処理諸規程やマニュアルが整備されているか。
 ほか
【人事・労務管理】(就業規則、給与規程など)
・採用計画と長期経営計画との関連は適切か。
・人事考課に適切な社内諸制度が確立されているか。
・人事異動および配置転換に伴う事務引継ぎ等は適切に実施されているか。
・遅刻・早退・欠勤・残業等の勤怠管理は適切か。
・昇給査定および賞与査定は、人事考課を適切に反映しているか。
・安全管理の責任部門が組織上明確になっているか。
 ほか
【財務組織】(職務権限規程など)
・財務織(会計)、経理、その他の部門との責任・権限は明確に区分されているか。  

【財務管理】(経理規程、原価管理規程など)
・小口現金は、適切に管理されているか。
・会計処理および原価計算、会計管理に関する規程は整備されているか。
・会計処理等は規程に従って処理されているか。
・証憑書類、伝票、帳簿、各種ファイルの整理・保管状況は適切か。
 ほか
【販売計画】(営業管理規程など)
・販売計画は、十分なマーケットリサーチにもとづいて、策定されているか。
・販売計画は、年度予算と連動しているか。  

【販売促進】(営業管理規程など)
・販売促進の方法には、適切なルールが確立されているか。
・販売促進の効果は適切に把握され、定期的にチェックするシステムになっているか。  

【販売管理】(営業管理規程など)
・受注は、適切な規定に基づいて行われているか。
・売上高の計上は、出荷の事実に基づいて行われいるか。
・販売価格、販売条件および回収条件は所定の基準に従っているか。
・売上値引・返品等は適切な規定に基づいて、適時に処理されているか。
・請求は漏れなく、適時に行われているか。
・売掛金の回収に関する内部牽制は適切か。
 ほか
【債権管理】(債権管理規程など)
・得意先の与信管理は、適時に適切に行われているか。
・回収が遅延している売掛金は適時にフォローされているか。
 ほか
【購買管理】(仕入管理規程など)
・発注は、適切な規定に基づいて行われているか。
・仕入高の計上は、検収を経て、適切な手続に基づいて行われているか。
・仕入値引・返品等は、適切な規定に基づいて、適時に処理されているか。
・取引内容のチェックが可能なシステムになっているか。
・仕入先口座の開設の承認手続は適切に実施されているか。  

【購買先】(仕入管理規程など)
・商社・問屋経由の購買の場合、明確な理由があるか。
・下請先・外注先への依存状況は適切か。
 ほか
【在庫管理】(在庫管理規程など)
・在庫品の入出庫は、適切な規定に基づいて行われているか。
・在庫品の破棄は、規定に基づいて行われているか。
・在庫品の実施棚卸は適切な規定に行われているか。
 ほか

最後に

株式会社船井総合研究所では、上場準備会社様に向けた『IPO準備で内部監査をアウトソースする3つのメリットとは?』と題したセミナーを開催し、今後も定期的に「内部監査関連のセミナー」を実施予定です。

また、今現在上場準備中で、直前々々期(n-3)のタイミングの会社様におかれましては、すぐにでも内部監査構築に向けての準備を始めることを推奨しますので、「内部監査」のみならず、IPO準備全般についてのご相談等がございましたら、お気軽にお問合せください。

弊社の専任コンサルタントは、実際に事業会社にてIPO準備に携わった(CFOや上場準備責任者等)経験者が在籍しておりますので、より具体的なご返答やご提案が可能です。

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