IPOコラム

トレンドは変化する!~2023年最新のTOKYO PRO Marketとは~

突然ではございますが、

TOKYO PRO Market(以下、TPM)について、どのような印象・イメージをお持ちでしょうか。

常日頃、上場準備会社様とお話させていただく中で、

上場準備会社の経営者様こそ、TPMに対して下記のようなイメージを持たれている傾向があるのではないかと感じております。

 ・TPM≒「プロ市場」≒「流動性がない市場」≒「ファイナンスができない市場」

 ・TPMは、事業承継に困っている会社だけが上場する市場

 ・自社は一般市場への上場を検討しているため、関係ない市場

TPMに関する情報が断片的であり、継続的な情報の更新ができていない経営者様が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、今回は本メルマガを通して、是非TPMの情報についてアップデートしていただければと思います。

1 2022年のTOKYO PRO Marketの動向について

2022年のTPMの年間新規上場社数は過去最多の21社となり、上場企業数も過去最多となりました。

上場企業数増加の要因としては、

・TPMの認知度の向上

・各J-Adviserの精力的な活動

・2022年4月の東証の市場再編の影響

などが挙げられるかと思います。

ただ上場企業数が増加しているだけではなく、TPM新規上場企業の特徴も変化しております。その顕著な例として、TPM新規上場企業の業績規模が挙げられるかと思います。

TPM新規上場企業の業績規模は年々拡大しており、

2022年のTPM新規上場企業の直前期の売上高の中央値は2,561百万円となっております。

直近の新規上場企業の直前期の売上高の中央値の推移は以下の通りです。

年度   売上高の中央値
2020年3,004百万円(年間新規上場社数10社)
2021年2,541百万円(年間新規上場社数13社)
2022年2,561百万円(年間新規上場社数21社)

TPMには形式基準がなく、幅広い業績規模の会社が上場可能であることから、

中央値そのものは25億円前後ですが、

売上高の最大値を分析してみると、

年度    売上高の最大値    
2020年7,452百万円
2021年50,003百万円
2022年16,233百万円

という推移をしており、ここ2年間では規模の大きい売上高100億円を超える会社もTPMに新規上場企業している、ということが理解いただけるかと思います。

TPM新規上場企業の業績規模の変化は、数値分析だけではなく、TPM新規上場企業の監査法人の実績数からも見て取ることができます。

TPM新規上場企業の監査法人の実績数の特徴として、

これまで「中堅・中小監査法人が割合が高い」という特徴が挙げられておりましたが、直近ではBIG4をはじめとする大手監査法人の実績数が微増しております。

具体的な事例としては、下記4社が挙げられます。

株式会社アスマーク(2022年1月にTPMに上場)

 直前期の売上高:2,561,149千円

 直前期の経常利益:△90,041千円

 監査法人:有限責任監査法人トーマツ

株式会社アイガー(2022年6月にTPM上場)

 直前期の売上高:1,275,521千円

 直前期の経常利益:134,576千円

 監査法人:EY新日本有限責任監査法人

株式会社LUMBER ONE(2022年10月にTPM上場)

 直前期の売上高:13,440,238千円

 直前期の経常利益:579,252千円

 監査法人:EY新日本有限責任監査法人

株式会社マナベインテリアハーツ(2022年12月にTPM上場)

 直前期の売上高:11,673,181千円

 直前期の経常利益:310,348千円

 監査法人:EY新日本有限責任監査法人

上記4社の事例企業がTPMへ新規上場している理由としては、下記の2点が考えられます。

  • 直前まで一般市場への上場準備を進めていたものの、業績など何かしらの要因から一般市場の上場ではなくTPMへの上場へ切り替えた。
  • TPMから一般市場へのステップアップ上場の準備を計画している。

いずれにせよ、申請会社からだけではなく、IPO業界に関わるプレイヤーからもTPMの立ち位置が変わっていることを理解できるかと思います。

2 事例紹介:なぜ、TOKYO PRO Marketへ上場したのか?

冒頭でお伝えした通り、「一般市場への上場準備中で、TPMへの上場は全く検討されていない経営者様」に向けて、一般市場への上場準備を進められていたものの、TPMへ目標市場を変更した会社様の事例をご紹介いたします。

●A社様の事例

A社は主幹事証券会社・監査法人も決まっており、旧マザーズ市場への上場準備を進めておりました。しかしながら、申請期の第2四半期のタイミングで、東証の市場再編よりも前に旧マザーズ市場へ上場ができないことを主幹事証券より伝えれたため、急遽TPMへの目標市場変更を決意しました。その後、即座に主幹事証券会社との契約解除・J-Adviserとの契約締結を行い、東証の市場再編よりも前にTPMへ上場することができました。

A社がTPMへの目標市場の変更を決意された理由は下記2点だったそうです。

・TPMへの新規上場の渋滞を危惧されていた

A社の経営者様は今後一般市場と同様にTPMにおいても「難民化」問題が慢性化するのではないかと予想されて意思決定されたとのことでした。

・最短期間での上場

A社様の場合、旧マザーズ市場への上場に向けて内部管理体制を十分に構築・整備されていたため、J-Adviser契約後すぐにTPMに向けての審査をすることができたそうです。その結果、J-Adviser契約締結から約5ヵ月でTPMへ上場することができたそうです。

A社のような意思決定ができず、上場準備が長引いてしまう会社の多くが、

①上場準備開始→②業績悪化→③上場準備ストップ→④管理部門や幹部の退職→⑤業績回復→⑥管理部門や幹部の採用→①に戻る

という悪循環を繰り返しているかと思いますが、

今現在、②~➂のステージで苦悩されている上場準備会社は

「TPMへの目標市場の変更」を検討されてみてはいかがでしょうか。

冒頭でお伝えしました通り、TPMに対して最新情報を継続的に入手されていない経営者様は是非一度TPMの情報のアップデートをしていただければと思います。

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