新規上場は100億企業への登竜門。「スイングバイIPO」とは?なぜ「TPM活用」か?

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執筆者船井総研 IPO支援室
コラムテーマIPO分科会
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「上場」という言葉を聞くと、どこか遠い世界の話、あるいは少し身構えてしまうような響きを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
「うちは地道にやってきたから、派手な上場は必要ない」
「今はまだ、その段階ではない」……

そんなふうに感じられる経営者の方は非常に多いです

 

しかし、ここ数年で、IPO(新規上場)のあり方は少しずつ、そして確実に変化しています。これからの時代を生き抜く中小企業の皆様には、IPO(新規上場)について、
「メリットを知らなかったのでIPOを目指さなかった」
ではなく
「メリットを知ったうえでIPOを目指すことを決めた」
もしくは
「メリットを知ったがIPOを目指さないと決めた」
と判断していただきたいです。

2026年のIPO環境:グロース市場の厳格化と、TPM活用の本格化

現在、東証グロース市場では、上場後の成長性や時価総額100億円を見据えた成長ストーリーが、これまで以上に強く問われるようになっています。これは、投資家がより確実な成長性と収益性を求めていることの現れであり、準備段階にある企業によっては、出口の見えにくい「険しい道」となっているのが実情です。
こうした中、成長戦略の柱として急速に支持を広げているのが、TOKYO PRO Market(以下、TPM)です。
TPMは「グロース市場への通過点」あるいは「地方優良企業の信頼獲得の場」としての地位を確立しつつあります。特筆すべきは、新規上場社数の伸びです。形式的な数値基準に縛られず、企業の「実態」と「ガバナンス」を重視するこの市場は、合理的かつ身近な選択肢として捉えられるようになってきました。

事業承継と組織改革。上場を「経営のOS」を刷新する機会に

なぜ、売上規模が数億から数十億円の段階で、あえて上場を目指す必要があるのでしょうか。そこには、日本の中小企業が直面している「二つの課題」に対する解決策があります。
一つ目は、「戦略的事業承継」です。
オーナー経営者から次世代へのバトンタッチにおいて、最も大きな障壁となるのが、株式の集約と客観的な企業価値の算定です。上場というプロセスを経ることで、株価の透明性が担保され、親族内承継のみならず、第三者承継やM&Aを含めた多角的な出口戦略が可能となります。


二つ目は、「ガバナンスによる組織の自走化」です。
100億円企業を目指す過程では、「社長個人の能力の限界」という壁に突き当たります。IPO準備とは、単なる事務作業ではありません。内部統制を整備し、職務権限を明確にすることで、属人的な経営から「組織による経営」へとOSを刷新する行為です。この強固なガバナンスこそが、企業の永続性を支える最強の武器となります。

[IPO分科会の詳細確認・お試し参加のお申し込みはこちら]
https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/ipo/016224-vi-ipo/

「スイングバイIPO」とは。外部リソースを活用する成功の方程式

ここで、2026年6月のIPO分科会に登壇いただくゲスト、株式会社Sapeet 築山英治社長の事例に触れたいと思います。同社は2024年10月に東証グロース市場へ上場を果たした、注目されるAIスタートアップの一社です。

「スイングバイIPO」とは、スタートアップが大企業などのリソース(資金力、信用力、販売網など)の支援を受けて急成長を遂げ、その後に独立して新規上場(IPO)を目指す新しい成長モデルのことです。宇宙探査機が惑星の重力を利用して加速する「スイングバイ」という技術になぞらえて名付けられました。

株式会社Sapeetの事例において、この「スイングバイIPO」とは、自社単独の力だけで進むのではなく、外部の資本やネットワークをレバレッジ(梃子)として最大限に活用し、上場まで一気に成長を加速させた戦略を指しています。

具体的には、以下のプロセスがSapeetにおけるスイングバイIPOを体現しています。

  1. 外部資本の受け入れ:Sapeetは独自のAI身体分析技術などを持つ東京大学発のスタートアップですが、PKSHA Technologyからの資本参加を受け入れています。

  2. 独立上場の達成:これら外部の大企業が持つ資本力や顧客基盤を成長の「重力」として活用し、2024年10月29日に東京証券取引所グロース市場への新規上場を果たしました。

このように、自社単独では得にくい資本・信用・ネットワークを成長の推進力として取り込み 企業価値と成長スピードを最大化させながら、最終的には独立した企業として市場に登場するプロセスが、Sapeetの事例でいう「スイングバイIPO」の大きな特徴です。
さらには外部ネットワークの活用として、船井総研のネットワークなどを活用することで、フィットネスクラブや接骨院といった伝統的な実業の現場に自社のソリューションをスピーディに展開しました。

自社単独の力で時間をかけるのではなく、信頼できるパートナーの力をテコ(レバレッジ)にして、一気に高度を上げる。この「外部リソース活用術」は、管理体制の構築と売上拡大を同時に成し遂げなければならないIPO準備企業にとって、極めて再現性の高い成功モデルとなります。

2026年、いかに決断するか

経営環境において、現状維持は後退を意味するといっても過言ではありません。TPMという扉が開かれた今、上場はもはや一部の急成長スタートアップだけのものではなく、経営者が早期に意思決定し、正しい準備を進めることで現実的に検討できる選択肢になりつつあります。 
グロース市場の上場ハードルが高まる一方で、TPMの活用、外部資本との連携、事業承継を見据えた上場準備など、IPOの選択肢は確実に広がっています。
重要なのは、「どの市場を目指すか」だけではありません。どのタイミングで準備を始め、どの外部リソースを活用し、どの順番で組織と事業を成長させるかです。

今回のIPO分科会では、東大発AIベンチャーとして2024年10月に東証グロース市場へ上場した株式会社Sapeetの築山英治社長をお招きし、上場までの意思決定と、その舞台裏を直接お話しいただきます。

本講座で得られるのは、IPOに関する一般論ではありません。
実際にグロース市場上場を実現した経営者が、どのタイミングで外部資本を受け入れ、どのように成長スピードを高め、どの段階で管理体制を整えていったのか。
その意思決定の順番と、表には出にくい実務上の葛藤を直接聞ける点にこそ、本分科会の価値があります。
IPOを検討中の経営者・幹部の皆さまは、ぜひこの機会にIPO分科会をご活用ください。

【6月10日(水)開催】IPO分科会 6月例会 概要

■プログラム抜粋
IPO分科会ゲスト講座:
「東大発AIベンチャーのスイングバイIPO ~グロース市場上場までの意思決定と、その舞台裏~」
・日時:
 2026年6月10日
・IPO分科会ゲスト講師:
 株式会社Sapeet 代表取締役 築山 英治 氏
  2016年 東京大学大学院工学系研究科卒業後、同社設立。
  独自のAI技術を強みにヘルスケア等の領域で急成長。
  2024年10月東証グロース市場に上場。

[IPO分科会の詳細確認・お試し参加のお申し込みはこちら]
https://lpsec.funaisoken.co.jp/study/ipo/016224-vi-ipo/
※経営者・幹部様限定。席数に限りがございますので、お早めにお申し込みください。

 

 

 

 

執筆者 : 船井総研 IPO支援室

中堅・中小企業のIPO支援に特化した専門家集団です。証券会社出身者等の知見を活かし、具体的な実行プランの策定から審査通過まで一貫して伴走。優先順位を明確にした支援で、確実な上場実現をサポートします。