IPO支援コラム

東証再編!上場企業以外にも関係アリ?経営者目線でおさえるべき3つのポイント

東京証券取引所が再編される予定です。
経営者にはどのような影響があるでしょうか?
 
■東証管轄下の市場の数・規模が変化する?
 
近日、東京証券取引所(以下東証)の再編が議論されていることを
ご存知の方も多いと思われます。
今回は、市場再編の議論を整理したうえで、
経営者目線で考えるべきポイントに言及します。
 
 
再編のポイントとして以下があげられます。
 
▼東証1部上場企業数の減少
東証1部上場基準が厳格になり、
東証1部でなくなる企業が出てくる可能性があります*。
 
▼ステップアップ市場の統合
東証2部とジャスダックの一部の統合、
ジャスダックの一部とマザーズの統合が検討されています*。
(東証2部、ジャスダック、マザーズの3つ市場が2つの市場に統合されます)
 
 
■経営者目線で気になることとは?
 
東証1部上場企業にとって、
再編後の上場基準を満たし東証1部に残留できるかは、懸案事項です。
「東証1部上場」という事実が、ブランド・会社の信用力
(ひいては取引先の拡大や採用時の応募者数増加、資金調達力)を支えているからです。
 
上場基準の一つに、時価総額があります。
時価総額を上げ、東証1部に残留するためには、業績向上が求められます。
すでに自社で展開する本業や新規事業により業績を伸ばすことが難しい場合は、
M&Aも有効な方法になります。
メリットとして、もともとあった他社のリソース
(事業ノウハウ・人材・サプライチェーン等)を活用できるため、
時間やコストの節約があげられます。
東証1部上場企業は、信用力や資金力に恵まれていることから、
M&Aの増加が予見されます。
 
なお、M&Aが業績向上に有効である点は未上場企業でも同様です。
M&Aには様々な手法があるなか、近年、一部の事業部門を買収する方法
(いわゆるカーブアウト側)が中小企業のM&Aにおいて増加しています。
 
 
未上場企業にとっても市場再編の影響は考えられます。
例えば、取引先の上場企業の市場が変更される場合です。
与信判断の基準が上場市場ごとに設定してある場合、
基準を見直す必要もあります。
再編の議論では、上記のように東証1部の企業数削減のほか、
ステップアップ市場の統合も検討されています。
与信について定めた社内規規程を再編後の市場形態に対応させるほか、
取引先の上場企業に市場変更があるか確認が必要になるかもしれません。
 
新規上場(IPO)を目指す企業にとっては、
上場基準の変化への対応がポイントになります。
市場選択のロジックや、IPO準備スケジュールに影響はないか等々、
検討点は多々ありますが、
重要な点は最新情報をチェックできる状況にしておくことです。
 
以下にみてみましょう。
  
 
■新規上場を目指すには?
現在の時価総額基準では、東証1部が250億円以上、
ジャスダックが5億円以上、マザーズが10億円です。
このように、市場によって上場基準は異なります。
(市場の詳細については、証券取引所のHPをご参照願います)**。
 
加えて東証1部の上場基準が厳格化するなかでは、
マザーズから東証1部への市場変更要件も厳格になることが予想されます
(従来、マザーズから市場変更する場合の上場基準は、時価総額40億円でした。
これがきっかけとなり東証1上場企業が増えました)。
今後、東証1部上場までの期間が長期化すると考えられます*。
 
IPOの準備は、通常3年以上かけて行います。
この過程で、今後の事業戦略、新規上場を目指す理由の確認、
社内管理体制・規程の整備とあわせて、
自社がどの市場に上場可能か判断します。
証券取引所の審査は1年ほどかかる場合もあります。
上場選択が遅れると、上場時期の後ろ倒しにつながります。
このことは上場時の資金調達のタイミングが遅れるほか、
業績の変動が激しい会社の場合、
上場ができなくなるリスクが増えることを意味します。
 
 
■情報をチェックするには?
今後、再編案は東証から発表される予定です。
最新情報をチェックするためには、
IPOに関連する専門機関とネットワークを構築しておくことがポイントです。
専門機関とは、監査法人、証券会社、証券印刷会社、
そしてIPOコンサル等があげられます。
新規上場企業数は年間90社程度です。
対象企業数に限りがあることから書籍も豊富とはいえない状況にあります
(あったとしても数年前の情報の場合など)。
専門機関と実際にコンタクトをとることが必要です。
 
ネットワーク構築のキッカケは?
専門機関とネットワークを作るには様々な方法がありますが、
IPOに特化したセミナーに参加することも有効な方法です。
また、セミナーに参加することで、最新動向を得られるほか、
専門機関やIPOを目指す他の企業とも交流する機会が得られます。
 
船井総研では下記日程にてIPOセミナーを開催します。
定員に到達次第、募集を締め切る場合もございます。
ご関心をお持ちの場合はお早目にお申込みくださいませ。
 
  
「貴社にあった上場市場を選択するためのIPOセミナー」
【日時】5月27日(月)13:30-15:30
【会場】船井総研東京本社
 ⇒各市場の特色や、市場選択の注意点、IPOのスケジュールや、上場の審査項目等についてもご説明します。

※こちらのセミナーは開催終了いたしました

 
「M&Aを有効活用し上場するためのIPOセミナー」
【日時】5月7日(火)10:00-12:00
【会場】船井総研東京本社
⇒IPOを目指すにあたり、業績向上の一手法としてM&Aを検討する場合、注意点や方法についてご説明します。

※こちらのセミナーは開催終了いたしました

 
「2代目経営者向け!承継後からIPOした手法が分かるセミナー」
【日時】4月19日(金)13:30-15:30
【会場】船井総研東京本社
⇒IPOをお考えの2代目経営者様や創業者以外の経営者様は参加必須!事業継承を絡めたIPOのモデル事例をご紹介します。

※こちらのセミナーは開催終了いたしました

 
 
注釈・引用
*市場再編の動向については、現在日経新聞より下記報道が確認されております。
「東京証券取引所は、2100社超ある東証1部の上場企業数を絞り込む。
時価総額の基準を引き上げ、英文開示なども義務付ける。1部の上場企業数は3割程度減る可能性がある。
優良企業が集まる上位市場の位置づけを明確にし、日本市場の国際競争力を高める。
新興企業と中堅向けは、現行の3市場から「新興」と「スタンダード」の2市場に集約する。」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42556840W9A310C1MM8000/

本稿は、日経新聞社の報道における上記引用文をもとに、今後の再編動向を推測しております。
**詳細は、東京証券取引所HPをご覧くださいませ

(東証1部 https://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/index.html
(マザーズ https://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/01.html
(ジャスダック https://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/02.html

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平井 貴大