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IPOコラム
IPO準備における内部監査のスケジュール
■ 本題とは別に、IPO準備における内部監査関連のコラム掲載しておりますので、ご覧ください。
▶ IPO準備における内部監査とは ▶ IPO準備における内部監査運用前に確認すべき主なポイント ▶ IPO準備における内部監査の外部活用(アウトソーシング) ▶内部監査を実施する上での社内諸規程の確認・整備(改訂)のポイント ▶ IPOにおいて「内部監査」に役立つ資格 ▶社長が知っておくべきIPO準備における内部監査のコスト |
Table of Contents
1.上場準備スケジュール
まず内部監査の具体的なスケジュールを理解頂く前に、上場準備の全体のスケジュール感を確認しましょう。上場準備のスケジュールは、上場申請する年を「申請期(n)」とし、それを基準に「直前期(n-1)」「直前々期(n-2))」「直前前々期(n-3)」と表現することが多いです。
(1)直前前々期(n-3)
申請期(n)の3期前の事業年度が直前々々期(n-3)です。監査法人が直前々期(n-2)の監査を行うにあたって期首残高が監査対象であることから、直前々々期(n-3)の期末の実地棚卸等に監査法人が立ち会うケースが多いです。また、監査法人との契約にあたっては事前に監査法人によるショートレビューを実施することが多くこの直前前々期(n-3)のうちに、ショートレビューで監査法人に指摘された課題等の解消に取り組み始めるタイミングになります。
また、社内管理体制や組織編成、関係会社の整備など改善すべき事項が多岐にわたる場合、ひとつひとつの課題に対し、相当な時間と労力を要する時期でもあります。具体的には、複数の会社(子会社含む)がある場合はグループ全体の構成の整備や、基本的な組織編成の見直しや社内諸規程を整備(改訂)することから始めるのが一般的です。
また、IPO準備するうえで不可欠となる監査法人の選定や主幹事証券会社の検討、資本政策の策定などを行うのも直前前々期(n-3)から始めることが多いです。
つまり、直前前々期(n-3)からが新規上場に向けた本格的なIPO準備が必要な時期と言えます。
【 直前前々期(n-3) の主なポイント 】 ▶ IPOプロジェクト責任者および担当者の任命 ▶ 組織編成の見直し ▶ 社内諸規程の整備 ▶ 内部管理体制、人員体制の整備(兼任兼務の解消検討)に向けた検討 ▶ 監査法人の選定(契約締結) └ ショートレビュー実施含む ▶ 決算体制の整備(監査法人によるショートレビュー後) └会計基準・会計システムの変更検討 ▶ 主幹事証券会社の選定(契約締結) ▶ 資本政策の検討 ▶ 関係会社との資本関係・取引の見直し ▶ 内部監査の準備 (導入フェーズ) ほか |
(2)直前々期(n-2)
上場申請の2期前にあたる直前々期(n-2)からは監査法人による監査が始まります。そして、前期(n-3)に監査法人が実施したショートレビューの結果を踏まえ、改善事項の明確化、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンス体制を含めた内部管理体制の構築・整備、関係会社(子会社含む)・関連当事者取引の整理を進めていくフェーズです。あわせて、主幹事証券会社と契約し公開引受部門(証券会社により名称は異なります。)が関与するタイミングでもあります。この直前々期(n-2)は、上場企業としてふさわしい体制づくりに着手、そして改善・運用し、直前期(n-1)へとつなぐ大切なフェーズといえます。
【 直前々期(n-2) の主なポイント】 ▶ コーポレート・ガバナンス体制の強化 ▶ コンプライアンス体制の整備 ▶ 主幹事証券会社との主幹事契約 ▶ 会計監査の対応(会計基準への移行) ▶ 監査役会設置に向けた検討 ▶ ディスクロージャーサービス会社の選定 ▶ 内部監査のトライアル運用実施(仮運用フェーズ) ほか |
(3)直前期(n-1)
上場申請期の一期前にあたる直前期(n-1)には、主幹事証券会社による上場企業としての適格性があるかが確認されます。それ故に、直前々期(n-2)のフェーズに社内管理体制の構築を完了し、直前期(n-1)においてはそれを運用することが必要となります。
原則として直前期(n-1)は上場企業としてのテスト期間(上場審査対象期間でもある)のようなものと捉えるべきであり、社内の様々な制度の構築や整備・仮運用を終えておくことが必要となります。また、直前期(n-1)のフェーズとなれば、株式上場の実現に向けたより具体的な上場申請のために必要な書類(Ⅰの部、Ⅱの部、又は各種説明資料など)の作成など、多くの業務と並行して行っていくことになりますので、うまく関係部門を巻き込んでスケジューリングをしながら、足りない部分はアウトソーシング(内部監査など)も検討して進めていくことが肝要です。
【(参考)主幹事証券審査の流れの抜粋】 (1) 主幹事証券会社の指定する期日までに審査資料一式を提出 (2) 主幹事証券会社から、様々な角度から質問書が提示。 (3) ① 回答書の提出 ② 回答に基づくヒアリング、実査 ③ 監査法人へのヒアリング ④ 社長、監査役等へのヒアリング ⑤ 審査結果が提示 など |
証券審査はおよそ4~6カ月間かけて行い、課題の改善や最終的な体制整備に繋げていきます。また、取引所審査では、取引所が定めた上場審査基準に基づいて、上場適確性を判断する上場審査を実施します。株主数や株式流動性、会計監査要件等の形式基準のほか、主幹事証券会社が実施した上場審査と同様に実質基準による審査を行います。
【 直前期(n-1) の主なポイント】 ▶ 内部管理体制の運用、改善 ▶ 内部監査の実施 (運用フェーズ) ▶ 上場申請書類の作成 ▶ 取締役会(監査役会)の設置 ▶ 主幹事証券審査の実施 ▶ 監査法人対応(会計監査の対応(決算開示、開示体制構築) など |
(4)申請期(n)
申請期とは、上場申請する期です。証券取引所に上場申請をする前に、主幹事証券会社の審査を受けることとなります。この審査では多様な質問がされ、かつ、指定の期限までに事前の質問に対して ”書面” で回答しなければなりません。
また、主幹事証券会社の審査を通ると、いよいよ証券取引所による審査が行われます。この審査でも多数の質問事項があり、それらに迅速に回答する必要があります。申請後の上場が承認されるまでの間は、上場審査に対応しつつ、ファイナンスに関する作業等も同時期に行われます。
【 申請期(n) の主なポイント】 ▶ 主幹事証券会社による引受審査 ▶ 上場申請 ▶ 証券取引所による上場審査 ▶ 内部監査の実施 (運用フェーズ) など |
2.内部監査スケジュール
内部監査は、社長直轄の内部監査部門(小規模会社等の場合は、兼務による内部監査担当者でも可)により実施される監査であり、法令上求められているものではないものの、上場会社として社内の内部統制等が効いていることを確認するために実施します。IPO準備会社においては、上場までに内部監査実務が一定期間運用されている実績が必要です。
ここでも、前述しています「上場準備の全体のスケジュール」と同じく、上場申請する年を「申請期(n)」を起算日として「直前期(n-1)」「直前々期(n-2))」「直前前々期(n-3)」に分けて説明します。
(1)直前前々期(n-3) → 【内部監査】導入フェーズ
内部監査を実施する上で、貴社のIPO準備状況等を把握し、「仮運用フェーズ(トライアル運用)」までに整備しなければならない項目のチェックおよび整備すべき内容の洗い出しを行います。
また、社内に内部監査を経験したことのある人材がいれば良いですが、経験者はいないことがほとんどです。そこで、中途採用やアウトソーシング等の検討が必要な時期でもあります。
【アウトソーシングについて】 「内部監査をアウトソーシング??」と思われる方もいると思いますが、監査という意味ではより客観的な監査となり社内のメンバーが実施するより社外から指摘するほうが有効であるといえます。 もっと言うと社内の人間ではないため何もしがらみがなく、指摘しやすいと言えます。 そして中途の経験者を採用してもミスマッチで退職する可能性もありますし、採用人数が一人であることも多く、採用人数が少ないと採用された方の経験に依存してしまいます。 監査品質が高ければ良いですが、低い場合も考えられます。 そこで内部監査のアウトソーシング会社を利用することにより一定以上の監査品質で監査を行うことが可能となります。 |
(2)直前々期(n-2) → 【内部監査】仮運用フェーズ(トライアル運用)
IPOで求められる内部監査業務(往査等)をトライアル運用(計画→監査→改善指示→フォローアップ)します。おそらく、初めての内部監査となるため、まずは各部門(拠点)において必要な諸規程が網羅的に運用されているか否かの監査(往査)を実施します。また、IPO準備においては、直前期(n-1)からの運用が求められることになりますので、直前々期(n-2)の期初より、本格的な準備が必要となります。
(3)直前期(n-1) ・申請期(n) → 【内部監査】運用フェーズ
トライアル運用後の「運用フェーズ」は、審査上必要となります。
主幹事証券会社により、スケジュールは前後しますが、直前期(n-1)からの運用が必要と考えたほうが良いです 。
最後に
株式会社船井総合研究所では、上場準備会社様向けた『IPO準備で内部監査をアウトソースする3つのメリットとは?』と題したセミナーを開催し、今後も定期的に「内部監査関連のセミナー」を実施予定です。
今現在、上場準備中で、直前々々期(n-3)のタイミングの会社様におかれましては、すぐにでも内部監査構築に向けての準備を始めることを推奨します。
また、「内部監査」のみならず、IPO準備全般について弊社の専任コンサルタントは、実際に事業会社にてIPO準備に携わった(CFOや上場準備責任者等)経験者が在籍しておりますので、お気軽にお問合せください。
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