IPOコラム

第二創業期の経営者にとってのIPOとは

(1)企業にとって第二創業期とは


みなさまは「第二創業期」という言葉にどのようなイメージを持たれるでしょうか。
「第二創業期」はおおむね2つの意味で用いられている場合が多いです。
一つめは事業承継、すなわち後継者が先代である創業者から引き継いだ事業を、後継者の視点で発展させていく過程です。
二つめは、順調に成長を遂げてきたものの、成長の踊り場に来た企業が次の成長ステージに向けて事業の再構築を進める過程です。
いずれの場合も、経営者(後継者含む)が既存の事業を活かしつつ、会社の新たな成長を模索していく非常に難しい段階といえます。

このような「第二創業期」をむかえた企業が次の成長への足掛かりとしてIPO(新規上場)を活用する方法について解説していきます。

(2)第二創業期でIPOを目指すことの意味とは


まずはIPOとは何かについて簡単に説明します。
IPOとはInitial Public Offeringの略で日本語では「新規(株式)公開」や「新規上場」と表現されます。
これは、会社があらたに株式を証券取引所に上場させ、誰もがその株式を購入することができるようにすることです。
IPOによって、証券会社に証券口座を開くことができれば基本的に誰もがその会社の株式を購入できるようになります(一部、「TOKYO PRO Market」というプロ投資家向けに限定された株式市場がありますがここでは除きます)。
そこで、上場企業は投資家保護のため、決算情報や重要な情報の公開が求められているほか、会社が適切に業務を遂行して持続的な成長と収益確保ができるよう、社内の管理体制を一定レベル以上に整えることが求められます。

ではなぜ「第二創業期」をむかえた企業が次の成長への足掛かりとしてIPO(新規上場)を活用するのでしょうか。

第二創業期をむかえた会社はいくつかの共通する悩みや課題を抱えています。
たとえば「属人的な運営」から「組織的な経営」への転換です。
創業期の会社は少人数のメンバーで理念や目標の共有も比較的容易で、製品開発やマーケティングに全力を投じることが可能でした。
しかし、ある程度の規模になり人数も増えると属人的な運営ではなく「組織運営」という課題が出てきます。属人的なやり方で積み上げてきた成功パターンを共有し成果を上げていく仕組みが必要となってくるのです。 属人的な運営から組織的な経営への転換点で、「管理職が育たない(育っていない)」という課題を抱えている会社も多いのではないでしょうか。

また、「成長のきっかけづくり」も悩みとしてあげられます。
第二創業期にある会社は、最初の創業ステージで一定の事業基盤を確保しています。
しかし、一定の事業基盤がありながらも今後の成長のために何らかのきっかけを必要としている場合が多いです。
会社によって内容は様々ですが、人材確保、設備投資資金の確保、知名度・信用力の向上などです。

こうした経営課題や悩みの解決のためにIPOを活用し、従来の自社の延長からもう一つ上のステージにステップアップの足掛かりとする事例が数多く存在します。

(3)IPOのメリット


では、第二創業期にある企業にとって、IPOは具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

第一に資金調達があげられます。
会社が新規上場する際、新株発行による増資で資金調達が行われます。
増資により調達した資金は、銀行融資と異なり返済する必要はありません。
企業は借入金返済のための資金繰りに悩むことなく調達した資金を投資にまわすことができます。
また、増資による調達のみならず、上場によって銀行から融資を受ける場合も、以前より有利な条件での取引ができる可能性があります(なお、経営者にとっては人個人保証が不要になるというメリットもあります)。

次に、人材採用に有利であるということがあげられます。
新卒採用も中途採用も我が国ではまだまだ「上場企業である」であるということが重要な選択肢の一つとなっています。
そのため、上場企業となることで会社の成長に必要な人材を集めやすくなります。

こうしたIPOのメリットで成長のきっかけをつかむという第二創業期にある企業の課題への処方箋となり得ます。

ですが、もちろんIPOもメリットばかりではありません。
IPOを実現するためには、上場企業としてふさわしい社内体制の整備が必要となります。
具体的には、事業計画や予算を作成して月次で管理することが求められ、社内規程を整備し、取締役会や監査役会といった会議体の運営が求められ重要事項の決定は会議体にゆだねることが必要となります。
一度決めた重要事項を変更するためには、再度所定の手続きをとるということも必要です。
証券取引所での上場審査では、こうしたことがきちんとできているということを書面によって記録に残し、それを説明していくことが必要です。

上場企業となった場合、一般投資家も株主としての参加が予定されることから、会社運営もオーナーによる属人的なものではなく組織として運営されることが求められます。

また、予算と実績管理の精緻化や月次決算の導入は、企業の持続的成長の基礎として求められるものです。
これまで創業者や後継者がオーナーとして支配していた場合に比べると煩雑で時間がかかるように思えるかもしれません。
しかしながら、こうした社内体制の整備が中長期的には会社の組織力強化や永続的な成長につながっていくのは間違いありません。

(4)IPO準備を効率的に進めるためには


会社を上場させる!と思ったときから実際の上場までは、順調にいっても3年から5年の時間を要するのが通常です。
また、弁護士や社労士といった専門家だけでなく、証券会社、監査法人、証券印刷会社、信託銀行といった上場企業特有の関係者と調整しながら準備を進めていくことが重要です。
長期間にわたるIPO準備をたくさんの関係者と調整しながら進めていくことは容易ではありません。
したがって、IPO準備ではIPO準備経験豊富な人物の助言を得ることが近道です。
中途採用でIPO準備経験者を採ることもよくありますが、弊社のようなコンサルティング会社の活用もあり得ます。

弊社ではIPO経験のあるコンサルタントが多数在籍しており、IPO準備企業の支援を行わせていただいております。
船井総研では、第二創業期を迎えた会社が抱える課題にIPOがどのように答えるか等様々な疑問を解消するための無料相談会もご用意しておりますので、是非ご活用ください。

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