IPO支援コラム

【経営者向け】「IPO経験者ゼロ」から踏み出すIPO準備

IPO(新規上場)を目指す理由として、資金調達力の増大と多様化、知名度、信頼性を高める、経営体質の強化のほか、採用力の強化といわれることが多いですが、本当にそうでしょうか。実際にIPOした経営者や、現在IPO準備中の経営者のリアルな声をまとめてご紹介します。

1.はじめに


IPO(新規上場)のメリットとして
・資金調達力の増大と多様化
・知名度、認知度を高める
・経営体質の強化
・採用力の強化
などが一般的にいわれますが、採用力の強化は本当でしょうか。

一概に採用力の強化といっても、
・新卒採用を行っている場合
 母集団を増やしたい
母集団の数を増やすだけでなく優秀な人材の数を増やしたい
 内定辞退数を減らしたい
 など
・中途採用を行っている場合
 経験実績が豊富な人材に応募してもらいたい
 マネジメントができる管理職となる人材を採用したい
 管理部門を任せることができる人材を探している
 経理や財務の経験のある人材が必要
 後継者候補となるような人材を探している
 など

上記以外にも、採用力を強化したいという視点では多様な背景があると思います。

2.IPOに関わる採用面での変化


船井総研ではIPO支援(月次支援)とあわせて、「高収益経営フォーラム IPO・M&A分科会」を運営しております。基本的には2,3年以内にIPOした経営者にゲストとしてご登壇いただいており、毎回「IPOして良かったこと、悪かったこと」をお聞きしております。そこで必ずと言っても良いほど採用に関するお話がありますので、過去のゲスト講師の「採用に関するIPO後の変化」を一部ご紹介いたします。

・A社
 新卒採用を毎年継続的に行っているが、内定辞退が課題であった。内定辞退の理由の多くが、ほかの上場会社に行くことに決めた、という理由とのことでした。特に、両親や大学の教授に相談した結果、上場会社のほうが安心、という結論に至っていたとのことでした。IPO(新規上場)後は、母集団が増えただけでなく、優秀な人材の応募も増え、内定辞退がなくなったとのことでした。特に、新卒の活躍が今後の事業拡大に大きく求められる業態であることから、事業計画を推進するために、IPOは採用力の強化という点でも大きな効果があったとのことです。

・B社
 創業社長が中心となって成長されてきた会社で、トップダウンでの経営をされていました。事業規模、組織規模も大きくなってきているものの、業績を伸ばす事業サイドの人材の強化を中心に進められていました。社内全体の組織体制の整備とともに管理部門の強化を図られるにあたって、管理部門を任せることができる人材を探しても思うような人材がみつからないという課題がありました。そのような状況下においても、創業時からのいつかはIPOを目指したいという思いから、IPO準備を進められました。IPO準備のための人材を募集するという視点で、管理部門の人材を募集したところ、求める経験や実績のある人材の採用に至りました。結果としては、最初に入社された方はIPO準備中に退職され、その後入社された方が、取締役CFOとしてIPO準備を継続され、上場されました。

・C社
 中期経営計画で1000名規模にすると掲げていた会社ですが、IPOした時点では社員数は100名前後でした。100名規模から1000名規模にするために必要なこととして、事業責任者を新たに中途採用されることにしたのですが、その時の条件は「1000名規模のマネジメント経験がある人」でした。今の規模でのマネジメント経験者ではなく、目指すべき規模感でのマネジメント経験者が必要、という考えからでした。実際に求めていた人材を採用することができたのですが、その要因としては、上場していることもあり、新聞や雑誌などのメディアにも多く紹介されていたことから会社の認知度や知名度もあり、会社の目指すべき方向性などもIR(適時開示)や広報活動(PR)により発信できていたことから、そのような経験、実績がある方を採用できたのであろう、とお話されておりました。

3.採用力強化!優秀な人材を採用するためのIPO


上記でご紹介したように、IPO(新規上場)した会社は、ほとんどの場合、採用力強化につながる、となるでしょう。その理由の一例として以下があると考えられます。

・会社の経営状況が開示される
 上場すると、損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)だけでなく、会社の経営状況に関する情報を開示する必要があります。経営状況が開示されていない状態で入社することに不安な求職者も多いと思います。実際に入社したら赤字が続いている、債務超過だった、という可能性もあり得るためです。
 特に、中途採用で優秀な人材を募集したい、という場合はなおさらです。経験や実績のある方ほど、給与や条件面だけでなく、この会社に入社しても安心か、という視点で会社の経営状況を気にするはずです。そのような場合、上場会社であれば、IR(適時開示)で会社の経営状況が開示されていますので、自らその内容を分析して入社するか否かを判断することもあるはずです。

・メディアなどで情報が発信されている
 上場することで新聞や雑誌、最近ではWebを中心としたメディアに取り上げられることも多くなります。自社のHPの情報や採用担当者からの会社の情報だけでなく、第三者目線での情報発信があることにより、求職者は多くの情報を入手した上で、入社後の自分が働いている姿をイメージすることができます。

上記以外にも、両親や学校の先生に相談した場合のケースや、ストックオプションや従業員持株会といったインセンティブ面での影響なども考えられます。

【船井総合研究所 宮井 秀卓】

【経営者向け】「IPO経験者ゼロ」から踏み出すIPO準備

https://www.funaisoken.co.jp/seminar/081170

■【セミナー概要】
・日時
2022/03/03 (木) 10:30~12:00
2022/03/11 (金) 10:30~12:00
・会場:オンライン

お申込みはこちらから
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/081170