IPO支援コラム

IPOするには社員数も売上規模も関係ない!?2021年は社員数17名でのIPO事例も

IPOを目指すにあたっては、過去にIPOした企業から学べることは非常に多いです。同じ業種のIPO事例だけでなく、近い規模感のIPO事例からも参考にできることが多くあります。
 

はじめに

IPOを目指す、検討している経営者の方と経営相談を実施していてよく聞かれることとして、
・いつ頃IPO可能か(スケジュール)
・IPOする目的をどう整理するか
・IPOのメリット、デメリットは
などがありますが、これらの他にも、
・自社の規模(売上、利益、社員数など)でIPOは可能なのか
という質問が多くあります。
 
ここでは社員数という切り口で、事例をもとにご紹介させていただきます。
(売上、利益の視点でのIPOについては、お問い合わせください)
 

2021年に社員10名前後でIPOした事例

2021年は社員10名で上場した会社はありませんでしたが、社員数が10名から30名前後でIPOした会社の一部として以下のような事例があります。なお、先行投資型の研究開発ベンチャー企業は除いております。
 
■メディア総研株式会社(2021年9月東証マザーズ上場)
 2017年07月期 12名
 2018年07月期 13名
 2019年07月期 28名(直前々期) 
 2020年07月期 31名(直前期)  
 
■株式会社サイエンスアーツ(2021年11月東証マザーズ上場)
 2017年8月期  5名
 2018年8月期 13名
 2019年8月期 16名(直前々期) 
 2020年8月期 17名(直前期)  
 
■株式会社フロンティア(2021年11月 福証QBoard上場)
 2017年11月期(単体)10名
 2018年11月期(単体)11名
 2019年11月期(連結)14名(直前々期) 
 2020年11月期(連結)17名(直前期)  
 
■株式会社エフ・コード(2021年12月 東証マザーズ上場)
 2017年12月期 24名
 2018年12月期 27名
 2019年12月期 22名(直前々期) 
 2020年12月期 20名(直前期)  
 

事例からみるポイント

2021年に社員数が10名から30名前後でIPOした会社のIPOまでの4期分の従業員推移をご紹介しましたが、IPO準備中の経営者の方が、確認していただきたいのは、このような従業員規模の会社の以下ポイントになります。
 
① ビジネスモデル
事業の成長性の蓋然性を説明することができるか、各社のIRで公表されている「事業計画及び成長可能性に関する事項」が参考になります。成長性というところが大事なポイントです。
 
② パートナー
自社で全て完結するのではなく、事業面、管理体制面いずれもパートナー企業をうまく活用しているケースが多いです。事業面で重要なビジネスパートナーから出資を受け入れて株主となっていただき、企業価値の向上という同じ目標に向かって取り組んでいる、というケースがあります。また、管理体制を整える上で、一定水準の管理部門の人員の確保は必要になりますが、外部パートナーとの連携にて社員数を最小限に抑えているケースもあります。
 
③ 役員構成
IPOを目指すにあたって、役員構成を整備する必要があります。その際に、どのような人材が、取締役としてふさわしいのか、また社外、非常勤の取締役は、どのような経歴、実績をもっている方がよいのかなどは、各社の上場時の有価証券報告書の「役員の状況」に記載されてる内容が参考になります。そこで、どのタイミングで役員構成を整備したのかなども確認できます。
 
④ IPO準備の体制(IPO準備担当者)
少ない人数で効率的にIPO準備を進める必要があります。その為には、IPO準備に必要なのはどのような人材か、IPOに求められる管理体制を整えるために必要な最小な組織体制はどのようなものか、などを知っていく必要があります。
 
⑤ 資本政策
上記の②パートナーとも関連するとこともありますが、事業会社やVCなどからの出資を受けているのか、ストックオプションはどうしているのかなど、資本政策についても、各社の上場時の有価証券報告書で確認することができます。
 
⑥ IPO準備のスケジュール
IPO準備をいつ頃から始めたのか、社員数の増加とIPO準備スケジュールの相関関係はあるのか、役員構成の整備のタイミングはどこなのか、などを確認することができます。なお、直前々期から監査法人と監査契約が必要になるため、その前から上場準備を始めているととを想定して、人員数の推移や、役員構成、業績推移などを確認すると参考になるところがあります。
 

まとめ

IPOを目指すにあたっては、過去にIPOした企業から学べることは非常に多いです。同じ業種のIPO事例だけでなく、近い規模感のIPO事例からも参考にできることが多くありますので、現在従業員が10名前後、もしくは30名前後であるが、今後IPOを目指したいという経営者の方は、ぜひ各社のIRを一度確認してみるのをおすすめします。

また、船井総研では「社員10名で上場した会社の事例からまなぶ上場までのステップ」というタイトルのセミナーを実施します。このセミナーでは、過去に社員が10名前後で上場した会社の事例をより詳しく解説していますので、現在従業員が10名前後、もしくは30名前後の経営者の方でIPOについて、より深堀して他社の事例を確認してみたい、という方はぜひご参加ください。
 
【船井総合研究所 宮井 秀卓】
 
『社員10名で上場した会社の事例からまなぶ上場までのステップ』
セミナー開催日
 2022年2月3日(木)10:30~12:00
 2022年2月18日(金)10:30~12:00
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