IPO支援コラム

実務経験者だけが知っている主幹事証券目線のIPO準備

はじめに

IPO準備をいざ本格的に始めようと考えた場合、皆様ならどのような活動を頭に思い浮かべますでしょうか。
選択肢として、「取引先金融機関・証券会社・身近に上場経営者がいれば相談する」「情報収集の一環としてIPOに関する書籍を読む」「IPOをテーマにしたセミナーに参加する」などが挙げられるかと思います。
ただ、相談を含め情報収集のみでは、自社でIPO準備を内製化して行うことは大変難しく、IPOの成功確率を少しでも上げるための手段として、実務経験者を採用するか、実務経験を有するコンサルタント等の力を借りて準備を進めるのが一般的です。
では、なぜ、それほど「実務経験」が重要になってくるのでしょうか。

 

多岐に渡るIPO準備項目

「実務経験」が重要になる代表的な理由の一つが、IPO準備は非常に多岐にわたるという点です。
IPO準備の主な大項目として、役員・組織構成、社内諸規程、内部監査、労務管理、月次決算・予実管理、中期経営計画や内部管理体制整備、従業員向けインセンティブプランの導入(従業員持株会設置など)、上場時のファイナンスといった資本政策の策定・エクイティ・ストーリーの構築等があり、経理、財務、人事、総務、法務、経営企画等の幅広い分野を、IPO基準で網羅性をもった形で整備する必要があります。では、具体的に「実務経験」があることで、どのような点が有利に働くのでしょうか。

 

実務経験があることでIPO準備が有利になる理由

①指摘事項が(着地イメージが)想像できる
1つ目が、主幹事証券・監査法人からの指摘事項が想像できる点です。
主幹事証券や監査法人によって、もしくは各担当によって多少異なる部分もあるかもしれませんが、主幹事証券による課題の抽出、監査法人によるショートレビューでは、大項目ないし中項目の課題抽出はできたとしても、細部にいたるまで網羅的な課題の洗い出しは現実的に難しく、都度、準備を進行するなかで新たに見つかった課題を指摘してもらうことが多いです。
実務経験があると、過去に指摘された経験を踏まえ、先回りした準備が可能となります。
 
②現場の巻き込み方が分かっている
2つ目が、現場を巻き込むことができる点です。
IPO準備は、全社一丸となって取り組むべきプロジェクトですが、稟議フローを一例にとった際、業務の手間が増える、効率が悪くなるなどの理由から、現場の社員に対し、「IPOのために必要だから」と一辺倒に伝えるのみでは、現場社員に理解してもらい、かつ前向きな協力を引き出すことはなかなか至難の業です。
実務経験があった場合、いつ、誰に、どのように伝えるかなど、現場を巻き込むポイントが分かっているため、円滑なIPO準備が可能になります。
 
③主幹事証券と対等な交渉が可能になる
3つ目が主幹事証券と良い意味で対等に交渉できる点です。
IPO準備におけるすべての項目・内容において正論ないし理想形に基づき、現状のギャップを埋めることにはいささか限界があります。
よく支援先やセミナーでお伝えしていることの一つが、「IPO準備はやりすぎも、やらなさすぎもNG」ということです。
実務経験がない場合、主幹事証券から指摘いただく理想形の基準をすべて満たす必要があると考えてしまいがちですが、実務経験があることで、主幹事証券が求める理想形のすべてを鵜呑みにするのではなく、部分部分で交渉することが可能となります。
IPO準備は多岐の項目に渡り、かつ深度が深い項目もあるため、限られた期間、限られたリソースで行ううえでは、いかに簡略化、効率化するかが肝要です。
 

まとめ

以上、IPO準備において、いかに「実務経験」が重要かをお伝えしました。
上場審査において重視されるポイントは日々変化しています。
限られたリソースでIPO準備を効率的に行う必要があり、かつ会社のビジネスモデル、規模等により、重要とするポイントや優先順位は異なります。
本セミナーでは、船井総研のコンサルタントが過去5社を上場に導いた実務経験と、20社以上にわたるコンサルティング経験に基づく、IPO準備を円滑に進めるためポイントについてお伝えします。
ぜひ、ご参加ください。
 
【船井総合研究所 隅屋 彰則】