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IPO支援コラム
TOKYO PRO Market上場のメリットやデメリットは? TOKYO PRO Marketを選ぶ理由
Table of Contents
■はじめに
東京証券取引所のプロ投資家向け市場である「TOKYO PRO Market」への関心が高まっています。他市場と比べて比較的短期間で上場できるといったTOKYO PRO Marketのメリットとデメリットを紹介しつつ、上場先にTOKYO PRO Marketを選ぶ理由を考えます。
・TOKYO PRO Marketとは
・TOKYO PRO Market選ぶ理由
TOKYO PRO Marketとは
■参加が「プロ投資家」に限定されているのが最大のポイント
TOKYO PRO Marketは東京証券取引所が運営する第5の証券取引所です。
2020年8月時点で36社が上場しており、2020年上半期(1月から6月)だけでもすでに5社が上場しています。
その最大の特徴は株式の取引(買付け)がプロ投資家(金融商品取引法上の“適格機関投資家”)のみに限定されているということです(売却は個人投資家も可能です)。
他の証券取引所では、多様な一般投資家が参加する前提のもと投資家保護のための様々な制度が設けられています。一方でTOKYO PRO Marketは株式の購入が投資の「プロ」に限定されています。例えば銀行や証券会社といった機関投資家や上場企業、一定の大企業などです。
こうした情報の目利きができ経済力もあるプロ投資家に限定することで、上場企業の情報開示負担など投資家保護のためのハードルを下げ、幅広い企業に上場の門戸を広げているのがTOKYO PRO Marketです。
■上場要件が緩和
参加者をプロ投資家に限定し投資家保護のための条件を緩和して幅広い上場企業を呼び込む。
そのような目的を実現するため、TOKYO PRO Marketでは上場要件が他の市場より緩和されています。
まず、上場のための数値基準(形式要件)がないことがあげられます。
例えば東証ジャスダック(スタンダード市場)では、純資産額2億円以上、あるいは上場直前期の経常利益1億円以上または上場時の株式時価総額50億円以上であることが求められます。
また、東証マザーズ市場では流通株式(オーナー等以外が保有している株式)の時価総額が5億円以上、流通株式の議決権比率が25%であることが必要です。(2020年8月末時点)
これらは、会社が一定の経済的規模を持っていることが前提となり、また足切りの基準として作用します。
一方でTOKYO PRO Marketではこれらの数値基準は求められておらず、上場企業としてふさわしい内実を持っているのであれば、規模の大小を問わず上場が認められます。
また、監査法人による監査が1期分のみとされています。
他の証券市場では上場前2期分について監査法人の監査が必須とされていることから、TOKYO PRO Marketでは他の市場に比べて短期間の準備期間で上場することが可能です。
■J-Adviserによるサポート
TOKYO PRO Marketのもう一つの特徴として、東証の認証を受けた「J-Adviser」を呼ばれる機関が、東証の上場審査に代わって必要な調査を行うことがあげられます。
2020年8月時点で証券会社など11の民間企業がJ-Adviserの認証を得ています。
J-Adviserは上場時だけでなく、上場後も上場企業に義務付けられる情報開示の支援を行います。
上場時だけでなく上場後も手厚いサポートが予定されているのがTOKYO PRO Marketの特徴です。
TOKYO PRO Market選ぶ理由
■短期間での上場が可能
上記のとおりTOKYO PRO Marketでは監査法人の監査期間が1年間のみとされています。
したがって、他の市場に比べて準備に着手してから上場するまでの期間は相対的に短いといえます。
また、企業規模の観点で求められる形式基準がないことから、設立間もなく現時点では規模の小さい会社であっても、事業基盤が整っていて上場企業にふさわしい管理体制が整備されているのであれば上場することも可能です。
■上場準備とその後の負担が少ない
参加者をプロ投資家のみに限定することで、四半期報告書や内部統制報告書といった情報開示制度の適用も任意になっています。
形式基準の撤廃とあいまって、上場準備と上場後の事務負担が他の市場に比べて軽減されています。
■オーナーシップ(会社支配権)を維持したまま上場が可能
前述のとおり流通株式に関する形式要件もありません。
すなわち、上場時に外部の一般投資家を株主に加える必要はなく、制度上はオーナーが持株比率100%を維持したまま上場することも可能です。
上場企業にふさわしい体制が維持できている限り、会社のオーナーとしては、これまで通り会社支配権を維持したまま上場企業のメリットを享受することが可能です。
■資金調達が難しいことがデメリット
TOKYO PRO Marketもいいことばかりではなくデメリットもあります。
最大のデメリットは、投資家がプロ投資家のみに限定されていて取引が活発でないことから、上場時に通常行われる増資や売出しによる資金調達が難しいことです。
上場の最大の目的を増資による資金調達としている場合、TOKYO PRO Marketではその目的を達成することが難しい可能性があります。
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【執筆者:前田 宣彦】
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