IPO支援コラム

赤字でも上場できる条件とは?

1.はじめに

毎年12月は新規上場の承認企業が多い傾向にありますが、2019年12月も同様に続々と承認されています。
その中でも、注目されているフリー株式会社やランサーズ株式会社などは直近決算が赤字ですが、新規上場が承認されています。

12月が東京証券取引所の新規上場日(予定日)の企業数
・2017年12月 22社
・2018年12月 19社
・2019年12月 15社(2019年11月25日時点)

参考に12月と同様に新規上場が多いのが3月になります。
・2017年3月 22社
・2018年3月 14社
・2019年3月 17社

決算月が3月または12月の企業が多いなかで、新しい決算を迎える前に新規上場することが多いというのが大きな要因にはなります。

2.赤字でも上場とは?

ここで、赤字でも上場できるの?と思われる方もいるかもしれませんが、
新規上場にあたって、東証マザーズの上場審査基準として
「(6)利益の額又は時価総額(利益の額については、連結経常利益金額)」に定量的な基準がありません。
その為、赤字でも上場が可能となっています。
過去にはLINE株式会社や株式会社メルカリなども赤字で上場しています。

詳しくは東京証券取引所のホームページに掲載されている「上場審査基準概要(マザーズ)」を確認してください。
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/01.html

3.上場の条件に求められる「高い成長性」とは

3-1「高い成長性」の判断基準とは

では、赤字でもどの会社でも上場が可能かというと、そうではありません。

もちろん、「(6)利益の額又は時価総額(利益の額については、連結経常利益金額)」以外の審査項目をクリアしていることが前提ではあるのですが、「高い成長可能性」が求められています。

「高い成長可能性」に関しては、

・「必ずしも上場申請期やその直後が増収増益である必要はありませんし、
「前期比3割増かつ1億円」程度の利益計上が必要であることもありません。」
・「一般的に会社の成長(成長するまでの期間や伸び率等も含め)は、会社の規模や属する業界、事業特性等によって様々であると考えられることから、高い成長可能性の判断の目安となるような数値基準は設けておりません。」

と東京証券取引所のガイドブックに記載されていますが、明確になっていません。

新規上場ガイドブック マザーズ編「2.高い成長可能性に係る事項」
https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide/tvdivq0000002gtl-att/mothers_02.pdf


「新規上場ガイドブック マザーズ編「2.高い成長可能性に係る事項」」によると、以下の水準にある場合は、主幹事証券が東京証券取引所に提出する「推薦書」に別紙が不要とされていることから、「高い成長可能性」の判断基準の参考になるのではないかと思います。

・最近2年間(通常、申請直前期及び直前々期にあたります)において、最近の1年間の利益の額が最初の1年間の利益の額と比して3割以上増加して1億円以上であり、かつ、最近の1年間の売上高が最初の1年間の売上高と比して増加している場合


・最近2年間において、最初の1年間は利益の額を計上しておらず、最近1年間の利益の額 が1億円以上であり、かつ、最近の1年間の売上高が最初の1年間の売上高と比して増加している場合

この基準からみると、直近決算が赤字の場合については主幹事証券が東京証券取引所に提出する「推薦書」に別紙が必要とされます。

3-2「高い成長性」が認められた企業の事例

そうした中、2019年12月に上場承認された、フリー株式会社とランサーズ株式会社は、赤字であるものの「高い成長可能性」が認められた企業ということで、直近の決算からどの程度の成長をしているのかを確認したいと思います。

■フリー株式会社

(第7期(2019年6月期)連結決算は売上45億16百万円、経常損失▲28億50百万円)

■ランサーズ株式会社

フリー株式会社は、売上高は2期連続で前期比約200%となっていることが、「高い成長可能性」とみられ、ランサーズ株式会社も、売上高は前期比132%と伸びており、KPIとしている流通総額やクライアント数も順調に伸びていることから「高い成長可能性」があるとみられ、今後も継続するものとみられていると考えられます。

4.まとめ

もちろん、ビジネスモデルなども考慮しての上での判断になると考えられますが、赤字でも新規上場が承認される「高い成長可能性」の基準を把握する上での参考材料になるのではないかと思います。

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