IPOコラム

利益1億円で上場時の時価総額約70億円!7億円以上調達したIPOとは

皆さんは自分の会社の価値はいくらかご存じでしょうか。相続時やM&Aで売却を検討した際に、株価算定を依頼することもあると思いますが、それぞれ算定根拠が異なるため、金額も異なることが多いです。また、新規上場(IPO)での株価の考え方も異なります。

仮に、売上高11億円、経常利益1億円の会社の場合、株価はどうなるでしょう。

相続税評価額やM&Aの場合は、資産の評価を行う必要がありますが、新規上場(IPO)においては違った視点での評価になります。今回は上場の直前期に、売上高11億円、経常利益1億円であった会社が、初値で時価総額69億円(公開価格41億円)で上場した事例を紹介させていただきます。

■経常利益1億円でなぜ会社の価値が70億円近くになったか

新規上場(IPO)時の株価については、一般的に既に上場している同業他社のPER(Price Earnings Ratio)を参考に計算されます。PERは株価が1株当たりの純利益(EPS)に対して、何倍になっているかを示す指標で、株価収益率ともいわれます。

今回の事例の会社の場合は、新規上場(IPO)時(公開時)のPERは41.81倍で、初値のPERは69倍でした。なお、PERは業種などにより大きく異なり、業種によっては10倍前後となるケースもありますので、仮に同様の利益水準でも時価総額が10億円前後となる可能性があります。

■PERについて

規模別・業種別PERは東京証券取引所のホームページで毎月公表されていますので参考までにご紹介させていただきます。

(2023年9月末時点での(単純)PER)

市場ごとの特性に応じて同じ業種でもPERが異なることがわかると思います。

<市場全体>
プライム市場      19.9倍         
スタンダード市場15.4倍
グロース市場109.2倍
<不動産業>
プライム市場11.9倍(63社)
スタンダード市場8.1倍(56社)
グロース市場45.3倍(22社)
<情報・通信業>
・プライム市場24.4倍(207社)
・スタンダード市場18.6倍(159社)
・グロース市場112.1倍(218社)
参考 東京証券取引所 規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/04.html)

■資金調達額は7億円

資金調達使途は

 ・システム開発に関連する外注費用

 ・新規採用費用

 ・人件費

 ・借入金の返済

 ・広告宣伝費に充当予定

として、2019年10月の上場時に公募で4.5億円、売出で2.5億円調達されています。7億円という金額をどうみるかですが、上場直前期で売上高11億円、経常利益1億円の会社ですので、今後の事業展開に大きなインパクトがあると考えられるのではないでしょうか。

同社はその後以下のような業績推移となっています。

売上高   経常利益   
2022年12月期  33億円    2.2億円     
2021年12月期24億円2.5億円
2020年12月期19億円1.9億円

2019年10月8日に東証マザーズ(現グロース)市場に上場していますが、直前期である2018年12月期が売上高11億円 経常利益1億円から上場後順調に売上利益ともに伸びています。

(参考 MINKABU https://minkabu.jp/stock/4476/ipo

今回事例としてご紹介させていただいたのは、創業から5期で東証マザーズ市場(現、グロース市場)に上場した、AI CROSS株式会社になります。早期に上場を実現した事例として、「企業価値向上経営フォーラムIPO分科会」にて、代表取締役原田社長をゲストに「早期上場を実現した戦略」についてお話しいただきました。

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