IPOコラム

10年後の事業承継を見据えた攻めのホールディングス化戦略とは?

弊社ではIPO支援に加え、ホールディングス化支援も行っており、ホールディングス化を検討されている数多くの経営者様からお問合せをいただいております。

今回は、実際にホールディングス(以下「HD」)体制をとった会社様の事例をご紹介させていただきます。

船井総研のお客様である中堅・中小企業の特徴として、成長意欲の高い企業様が多いということが挙げられます。実際にHD化体制を取ることを決意された会社も、HD化することで、会社の成長につながると考えられたのです。

本コラムを通して、どのようにしてHD化が自社の成長につながるのかをお伝えさせていただきます。

1 ホールディングスの目的~攻めのホールディングス/守りのホールディングス~

年商や従業員数などの観点で、ある程度の規模まで達した企業は、権限移譲による幹部人材の育成、積極的なM&A戦略などのメリットから、HD体制をとることの意思決定をされております。このような企業は「攻め」のHD化戦略を取ったと考えられるでしょう。

一方で、多くの方は、「守り」のHD化と聞いて、節税対策などの漠然としたイメージしか持たれていないのではないでしょうか。

しかしながら、「守り」のHD化だけではなく、将来的な事業承継を見据えて、HD体制への移行を検討しならも、幹部人材の育成や積極的なM&A戦略が可能になる体制の構築を兼ね備えた「攻め」のHD化戦略を検討されている会社様が増えております。

2 10年後の事業承継を見据えた攻めのホールディングス化戦略

将来的な事業承継を見据えた「攻め」のHD化戦略について、実際にB社様の事例を紹介させていただきます。

B社様の会社概要について簡単にご紹介させていただきます。

・年商:約10億円
・従業員数:約50名
・事業内容:住宅・不動産           
・社長のご年齢:50代前半

B社の経営者様(以下、X社長)は先代の社長(お父様)が亡くなられ、先代の社長からX社長自身への株式等の相続が発生したことで、X社長自身の代での事業承継を強く意識したそうです。

X社長には小学生のお子様がいらっしゃいましたが、まだ会社経営を担うかも分からなかったため、現幹部人材へのMBOも検討されていたそうです。悩まれたX社長は税理士へご相談され、B社を100%子会社とする株式移転のスキームでのHD体制を導入されました。

今後もX社長が会社経営をされる予定の中で、HD体制へ移行されたものの、次世代への事業承継をどのようにするべきかという漠然とした不安が残るため、X社長より弊社にご相談いただきました。弊社は、今回のHD化をただの「守り」のHD化に終わらせないためにも、将来的な事業承継(具体的には、10年後)を見据えた攻めのHD化戦略をご提案させていただきました。

具体的には、

・グループストラクチャーの構築(営業部門・管理部門の分離)

 →親会社へ管理部門機能を持たせ、全社のコーポレート機能をつかさどる

・X社長から幹部人材への権限移譲

 →ワークフローの整備、決裁権限表の作成

・HD体制としての内部管理体制の構築

 →規程、会議体の整備・構築

といったグループ体制整備です。

その結果、10年後のX社長が60代となったタイミングを見越して、次世代へのバトンタッチに向けた土台作りをサポートさせていただくことができました。

このように、事業承継を見据えたHD体制のためには、HD会社の設立とあわせてグループ体制の整備も行うことが効果的です。

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