新規上場（IPO）にあたって財務会計基準機構（FASF）の加入は必須なのか？

決算短信等において財務会計基準機構（FASF）のロゴマークをみたことがある方も多いと思いますが、あのロゴマークはなぜ掲載されているのか、また掲載しないといけないのか、などについてまとめましたので、新規上場（IPO）にあたって対応について検討されている方は参考にしてください。

1　東証のホームページに以下のようなQ＆Aがあります

Q：決算短信等において、公益財団法人財務会計基準機構会員ロゴマークは必ず掲載しなければならないものですか。

A：（一部抜粋）

・上場会社は、公益財団法人財務会計基準機構への加入状況を開示することが義務付けられていますが、その際、決算短信（サマリー情報）に、同財団ロゴマークを掲載することで、当該開示に代替することも可能としています。

・決算短信・四半期決算短信（サマリー情報）において、同財団ロゴマークを掲載することは必須ではありませんが、会計基準設定主体を支え、会計基準の整備及び開示に積極的な姿勢で取り組んでいることを投資者・マーケットにより強くアピールすることが可能となると考えられますので、できる限り掲載するようにしてください。

・なお、同財団の会員ではない場合、当然に、同財団ロゴマークを掲載することはできません。

→（東証FAQ）https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge8232.html

2　財務会計基準機構（FASF）とは

会計・ディスクロージャーの諸制度の健全な発展と資本市場の健全性の確保に寄与することを目的として、市場関係者（財務諸表の作成者・利用者・監査人）の総意で設立された民間の非営利団体です。

　1. 一般に公正妥当と認められる会計基準及びサステナビリティ報告基準の調査研究及び開発

　2. 国際的な会計基準及びサステナビリティ報告基準の開発への貢献

　3. ディスクロージャー及び会計に関する諸制度の調査研究

　4. 1～3の事業の成果を踏まえた提言及び広報・研修活動

　　等、様々な事業を行っております。

→（財務会計基準機構（FASF））https://www.asb.or.jp/asb/top.do

3　財務会計基準機構（FASF）の会費と会員特典

■会費（年会費）

　法人会員

　・プライム市場上場企業：一口につき 50 万円

　・上記以外の法人：一口につき 30 万円

　個人会員　5万円

■特典

①会員マークの使用

決算説明等投資家向けの資料や名刺などに掲載し企業会計基準等の整備に積極的な姿勢で取り組んでいることを示すことができます。

なお、TDnet での開示に際し、入力フォーマットより登録した場合は、「決算短信」、「四半期決算短信」、「業績予想の修正」及び「配当予想の修正」に自動表示されます。

②Web サイトの閲覧

会員専用ページより、以下のような情報を閲覧することができます。

有価証券報告書及び四半期報告書の作成要領

法令及び会計基準の適用時期一覧

③各種刊行物の購入

財団が発行している「有価証券報告書の作成要領」、「四半期報告書の作成要領」を会員価格にてご購入できます。

→（会員制度について）https://www.asb.or.jp/jp/fasf-asbj/institution.html

4　財務会計基準機構（FASF）への加入状況

東京証券取引所のホームページにて財務会計基準機構の加入状況が公開されています。

東証では事業年度経過後3ヶ月以内に、当該事業年度の末日における公益財団法人財務会計基準機構への加入状況（当該機構に加入していない場合には、翌事業年度以降における加入に関する考え方を含む。）の開示を求めています。

約96%の東証上場内国会社が公益財団法人財務会計基準機構へ加入しており、全社加入の早期実現に向けた取り組みとして加入状況を公表しています。

・プライム市場：加入率99%

・スタンダード市場：加入率91%

・グロース市場：加入率96%

（2023年7月3日現在）

→https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/services/asb/01.html

5　新規上場会社の財務会計基準機構（FASF）への加入状況

2016年度以降の公表されている新規上場会社の加入率は99%です。

2016年度から2022年度までで合計727社が新規上場していますが、726社が加入しており、未加入は1社のみです。

6　財務会計基準機構に加入していない場合の対応

財務会計基準機構に加入していない会社もありますが、その場合は、以下のような開示を行っています。

■株式会社音通（7647 東証スタンダード）

2023年6月22日に以下の開示があります

「公益財団法人財務会計基準機構への加入状況及び加入に関する考え方等に関するお知らせ」

～一部抜粋～

当社は、2023年３月31日時点において公益財団法人財務会計基準機構へ加入していない為、株式会社東京証券取引所の定める上場規程 409 条の２に基づき、公益財団法人財務会計基準機構への加入状況及び加入に関する考え方等について、以下のとおりお知らせいたします。

→https://ontsu.co.jp/wp-content/themes/thmOnt/_pdf/2023/ir20230622zaimukaikeikijunkiko.pdf

■株式会社ナガセ（9733　東証スタンダード）

2023年6月13日に以下の開示があります

「公益財団法人 財務会計基準機構への加入状況について」

～一部抜粋～

当社は、2023年3月31日時点において公益財団法人 財務会計基準機構 （以下、財務

会計基準機構）に加入していないため、株式会社東京証券取引所の定める上場有価証券

の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則第2条第6項の２に基づき、加入に関する

考え方等について下記のとおりお知らせいたします。

→https://www.toshin.com/nagase/ir/img/irPdfs/64870a8166c01.pdf

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