IPOコラム

事業承継は何歳頃が良い?後継者が決まっていない場合のM&A以外での事業承継の選択肢は?

5年、10年後を想定して事業承継を考えないといけないが、後継者が決まっていないもしくは次期社長候補はいるが、株式をどうするか決まっていない。ただ、M&A以外での事業承継を模索したいという経営者はどうすべきか

事業承継は何歳くらいで行うのが良いか

・同族承継の場合

交代前の経営者平均年齢は68.9歳、交代後の経営者平均年齢は46.8歳

・同族承継以外の場合

交代前の経営者平均年齢は63.2歳、交代後の経営者平均年齢は54.5歳

となっており、いずれも60代になってから事業承継が行われております。また、同族承継では事業承継時期が遅くなる傾向にあります。同族承継においては、子息などの後継者が一定の経験や年齢を重ねるのを待って事業承継するために、結果的に承継時期が遅くなっている可能性が考えられます。一方で交代後の経営者平均年齢は同族承継で46.8歳、同族承継以外で54.5歳と同族承継の方が若い年齢で経営者に就任していることが分かります。(参考:2020年版「中小企業白書」)

但し、当然ですが、後継者が決まってすぐに事業承継ができるというわけではありません。事業承継の意思を伝えられてから経営者に就任するまでの期間としては以下のようなデータがあります。

・半年未満       22.4%

・半年~1年未満 11.5%

・1年~3年未満  22.4%

・3年~5年未満  11.3%

・5年強                    32.3%

(参考:2020年版「中小企業白書」)

半年未満と半年~1年未満の合計で約34%を占めておりますが、32.3%は5年強の期間を経て事業承継を行っています。その為、実際には60歳前後で事業承継を進めている経営者が多いことがわかります。

なお、近年事業承継をした経営者の就任経緯をみると、同族承継の割合が減少傾向にあり、事業承継の方法が、親族以外の承継にシフトしていることがわかります。

・2018年

 同族承継 42.7% 内部昇格31.4% 外部承継6.9%

・2019年

 同族承継 39.1% 内部昇格31.7% 外部承継7.8%

・2019年

 同族承継 34.2% 内部昇格34.1% 外部承継8.3%

(参考:2020年版「中小企業白書」) では、データとして60歳前後で事業承継を行っているケースが多いことがわかりましたが、実際に60歳前後で事業承継を行うのが適切なタイミングなのでしょうか。

事業承継するなら早いほうがよい?

経営者の年齢別、増収企業の割合のデータをみると、経営者が若いほうが、増収企業の割合が高いことがわかります。

・30歳以下 約62.2%

・40歳以下 約59.9%

・50歳以下 約54.7%

・60歳以下 約50.5%

・70歳以下 約48.2%

・80歳以下 約43.5%

(参考:2020年版「中小企業白書」)

これは、増益企業の割合のデータでも同様の傾向にあります。その要因としては、新規事業分野への進出や、設備投資の実施の割合が若い経営者ほど高くなっており、試行錯誤(トライ&エラー)を許容する組織風土も高い傾向にあります。これらのデータからみると、事業承継を行うとした場合、早いタイミングで若い経営者に承継したほうが良いという傾向にあることがわかります。

親族承継以外での事業承継の手段とは

親族承継以外で事業承継する場合、内部昇格や外部招聘という方法がありますが、経営権という視点以外で所有権も考える必要があります。特に所有権の承継という視点で、M&Aで売却する、という選択肢もありますが、実際に売り手としてM&Aで売却意向のある割合は以下の通りとなっています。

・従業員数20名以下  14.1%

・従業員数21~50名    9.2%

・従業員数51~100名  7.8%

・従業員数101名以上   5.1%

(参考:2020年版「中小企業白書」)

従業員数が多いほどM&Aによる売却の意向が少ないことがわかります。近年、M&A件数も増加傾向にあるものの、M&A以外で事業承継を進める企業もいまだ多いことがわかります。では、親族承継や内部昇格での後継者候補がみつかっていないが、M&Aで売却する意向はない、という場合、事業承継はどうするが良いのでしょう。

事業承継の選択肢として「TOKYO PRO Market」への上場

上場会社となって「所有と経営の分離」による事業承継という選択肢があります。ただ、上場するためには5年近くのIPO準備期間が必要であったり、上場基準のハードルが高いと感じている方も非常に多いと思います。但し、東京証券取引所が運営し、近年上場企業数が増加傾向にある「TOKYO PRO Market」の場合、「グロース市場」や「スタンダード市場」などの一般市場と比べて、上場の為に必要な要件が柔軟になっています。その為、事業承継の選択肢として「TOKYO PRO Market」への上場を目指す企業も増えており、お問い合わせも増えております。 今後、5年、10年での事業承継を考えているが、様々な選択肢を模索したいという経営者の方は、ぜひ「TOKYO PRO Market」へ上場することによる事業承継というのも一度検討されるのはいかがでしょう。

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本コラムでお伝えした「事業承継の選択肢としてのTOKYO PRO Market」への上場」について、より詳細を聞きたい、情報をインプットしたい、という経営者向けの機会として、企業価値向上経営フォーラムIPO分科会があります。


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