IPOコラム

2023年のTOKYO PRO Market（東京プロマーケット）の総括と今後の展望

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はじめに

2023年単年度でのTOKYO PRO Market（東京プロマーケット）の新規上場企業数は32社となっており、2022年単年度の新規上場企業数の21社から大きく飛躍しております。

近年、TOKYO PRO Marketの新規上場企業数が増加した背景としては、TOKYO PRO Marketの柔軟な上場基準のほかに、「”あえて”TOKYO PRO Marketへ上場する」企業が増加しているからだと考えられます。

そこで、今回は、2023年のTOKYO PRO Marketを振り返りながら、「”あえて”TOKYO PRO Marketへ上場する」企業が増加している事実に迫りましょう。

2023年のTOKYO PRO Marketの状況についてはこちらの動画もご覧ください。

TOKYO PRO Marketとは

TOKYO PRO Marketとは、東京証券取引所（東証）が運営する株式市場の1つで、2009年に開設されました。大きな特徴は、「プロ投資家（特定投資家）」の株式市場であることです。プライム市場・スタンダード市場・グロース市場のような一般市場の場合は、投資家として誰もが自由に株の売買ができますが、TOKYO PRO Marketは、株の売買ができる投資家を、株式投資の知識や経験が豊富なプロ投資家（特定投資家）に限定しています。そのため、上場の要件が一般市場よりも緩和されています。

2023年のTOKYO PRO Market状況

2023年のTOKYO PRO Marketについて、一言でまとめるなら、「これまでのTOKYO PRO Market（東京プロマーケット）から変化している」ではないでしょうか。

その具体的な変化について、見ていきましょう。

前述の通り、2023年単年度では32社がTOKYO PRO Marketに新規上場しております。新規上場企業数の増加もさることながら、注目すべきは「本社所在地」です。

これまで、TOKYO PRO Market上場企業は東京以外に本社を置く企業の割合が高いという特徴がありましたが、近年東京都に本社を置く企業が微増傾向にあります。実際に、2023年に新規上場した32社のうち、半数の16社は東京都に本社を置いています。

TOKYO PRO Marketは「地域を代表する優良企業が上場する」というイメージがありました。

最近は、TOKYO PRO Marketが注目されるようになったことで、これまでグロース市場への直接上場を意識していた企業の中から、一度TOKYO PRO Marketに上場してからステップアップ上場を目指す企業が増えてきたことが一因と考えられます。

TOKYO PRO Market上場企業の特徴の変化は、「本社所在地」だけにとどまりません。

TOKYO PRO Marketの業種別構成割合の特徴としては、偏りなく様々な業種の企業が多く上場しているという特徴があり、直近2～3年においては、不動産業や建設業での上場事例が多く目立っておりました。2023年においては、一般市場への新規上場企業のように、情報・通信業やサービス業の割合が増えております。