どのような会社が営業利益3000万円以下でIPO(新規上場)しているのか?企業の特徴をご紹介

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執筆者船井総研 IPO支援室
コラムテーマIPOの基礎知識
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はじめに

皆さまの中でIPO(新規株式公開)を少しでも考えたことがある方は多いのではないでしょうか。 その際、今の自分の会社の売上や利益でIPOは難しいのではないかと思われる方も多いと思います。 このコラムでは2019年に上場した企業の中で赤字や営業利益3000万円以下で上場した企業を取り上げ、新規上場できたポイントについて解説いたします。  

上場するために必要な条件

まず、各証券取引所が公開している新規上場のための形式基準について説明します。 マザーズ、セントレックス、Q-Board、アンビシャスは上場時に売上高と利益に関する条件を求めていません。特にアンビシャスに関しては時価総額の条件も求められていません。 これらの市場は売上高と利益に関して定量的な基準は求められていませんが、いずれも「成長可能性」を有している、ことが求められています。 実際に2019年に上場した企業の営業利益はどうなっているのでしょうか。 下の円グラフを見ていただくと、上場企業86社のうち実際に18社が営業利益5000万円未満で上場、そのうち14社が赤字で上場しています。 次にこの18社のうちの2社を取り上げて上場のポイントについて説明します。 【2019年上場企業の営業利益】 (出所:弊社セミナーテキストより抜粋)  

株式会社ステムリム(医薬事業)の事例

まず、事例として取り上げる1社目は株式会社ステムリムです。 1968年に創業した会社で2019年8月に東証マザーズに上場しましたが、上場直前期の売上は2億円、営業損失は△3億7,500万円です。 主な事業は「再生誘導医薬」の研究開発です。再生誘導医薬は患者自身の細胞を活性化させるもので簡便かつ安全かつ治療効果が高い再生医療として注目されています。 では、この会社の成長可能性はどこになるのでしょう。この会社が扱っている再生医療の市場規模は国内2020年の950億円が2050年には2.5兆円の増加がみこまれています。また、医薬品事業の特性上、研究開発から現場導入から長い期間を要するため最初の期間はどうしても低収益になってしまうのです。 今現在の会社の業績はどうなっているかというと、2020年7月期は営業利益が4億1,500万円になっていて見事に黒字化しています。これは開発進捗に伴うマイルストーン及び塩野義製薬との新契約締結に伴う一時金の受領によるものだと同社は述べています。 こういった成長可能性が株式会社ステムリムが上場したポイントと言えるでしょう。  

株式会社global bridge HOLDINGS(保育・介護事業)の事例

事例として取り上げる2社目は株式会社global bridge HOLDINGSです。 同社は1981年に創業した会社で2019年12月に東証マザーズに上場しました。上場直前期の売上は37億8700万円、営業利益は△7億3,900万円です。主な事業は介護・保育・ICT事業です。最後のICT事業についてですが、保育事業の経験を活かして保育園運営管理システムを開発、販売。また、保育・介護用品専門のネットショップを運営しています。 2020年12月期の第2四半期時点ではコロナウイルス対策費用とガバナンス強化のための本社社員増強の影響により営業損失が△10億35百万円と2019年12月期の第2四半期の営業損失△4億86百万円と比べてかなり減収になっております。しかし、売上高は2019年12月期第2四半期で28億円だったのに対して、2020年12月期第2四半期は38億74百万円と前年比137%増となっています。特に主事業である保育事業が大きく増収になっており、「成長可能性」があると認められたのではないかと考えられます。  

まとめ

今回のコラムでは営業利益が低くても成長可能性があれば上場はできるという事例を紹介しました。事例に上げた企業の主な事業はいわゆるIT企業などではないものの長年の積み重ねで成果が認められた企業、工夫しながら新しいことにチャレンジする企業が上場しました。貴社もIPOを検討してみてはいかがでしょうか。       【執筆者:宮井 秀卓】

執筆者 : 船井総研 IPO支援室

中堅・中小企業のIPO支援に特化した専門家集団です。証券会社出身者等の知見を活かし、具体的な実行プランの策定から審査通過まで一貫して伴走。優先順位を明確にした支援で、確実な上場実現をサポートします。