J-Adviser/F-Adviser業務コラム

TOKYO PRO Marketが注目されている理由とは!?TPMを活用した成長戦略を解説!

TOKYO PRO Marketが近年注目されております。2021年では13社が新規上場しており、年々上場数も増加傾向にあります。注目される理由はそれだけではなく、ステップアップ上場などのTPM上場企業の成長戦略もあります。

1.はじめに

 2019年からの2年間で上場企業数が2倍近くになった株式市場があります。
それが東京証券取引所(以下、東証)が運営するTOKYO PRO Market(以下、TPM)です。
2021年12月末時点で上場企業数は48社ですが、2021年度のTPMへの新規上場社数は13社と過去最高になっており、年々上場社数も増加しております。

また、TPMへ上場している48社のうち、約7割が東京都以外に本社所在地を置く地方企業となっております。
 さらに、2021年はTPMからマザーズなどの一般市場へ上場する「ステップアップ上場」が2社あった点や、東証の市場再編を鑑みて目標市場をTPMに変更して2021年度中に新規上場した企業がいたことからも、かなり注目が高まってきております。それでは、今、注目が高まっているTPMとは、一体どのような特徴を持つ市場なのでしょうか

2. TPMの特徴と注目される理由

2022年4月4日以降から市場再編により、東京証券取引所の市場はプライム市場、スタンダード市場、グロース市場、TPMと4つになりますが、
その中でもTPMはかなりユニークな特徴を持つ市場となっております。

1点目は、上場している株式の取引(買い取引)が可能な投資家が、銀行や証券会社といった「プロ投資家」に限定されているというものです。
「プロ投資家」の条件は金融商品取引法で決められており、一般の個人投資家は取引に参加することができません。その結果、株売買はほとんどなく、株の流動性がないため、資金調達には不向きであるという点もTPMの性質であります。

2点目は、上場前に必要な監査期間です。他の市場の場合、監査法人による監査が2期分必要になりますが、TPMで求められているのは1期分になります。

3点目は、上場基準に形式基準がない点です。他の市場であれば、時価総額や株主数といった定量的な基準が設けられておりますが、TPMには形式基準がなく実質基準のみが設けられております。

4点目は、上場の審査対象です。
他の市場では、主幹事証券や証券取引所が上場申請会社に対して上場審査を行いますが、TPMの場合はJ-Adviserという東京証券取引所から認定された機関が審査を行います。

これらの特徴からも分かる通り、他市場と比べTPMでは柔軟な上場基準が定められている市場となっております。

3.TPMを活用した成長戦略

TPMが近年注目されている理由として、市場特性だけではなく、TPM上場企業の上場後の取り組みが挙げられます。
ここでは、2つの観点でご紹介いたします。
1)ステップアップ上場
冒頭でもお伝えしました通り、2022年2月末時点で5社がTPMを活用したステップアップ上場に成功しております。

ここで注目していただきたいのは、2021年9月にTPMから福証Q-Boardへステップアップ上場した株式会社Geolocation Technologyです。
同社は、2020月12月にTPMへ上場後、その9ヶ月後にステップアップ上場している点が特徴的です。

この短期間でのステップアップ上場成功の鍵は2つあると考えられます。
 (1)ステップアップ上場を見据えたJ-Adviserの選定
   同社はJ-Adviserとしてエイチ・エス証券と契約をしております。
  エイチ・エス証券は、J-Adviserでありながら、一般市場において主幹事証券を
  務めることも可能で、本件においてもQ-Boardへのステップアップ上場の際には
  主幹事証券として上場のサポートをしております。よって、ステップアップ上場を
  見据えたJ-Adviserの選定がTPM上場後に短期間でのステップアップ上場を成功さ
  せたと考えられます。

(2)TPM上場時からの入念な準備
   福証Q-Boardの形式基準には「九州周辺に本店を有する企業又は九州周辺におけ
  る事業実績・計画を有する企業」と定められており、同社はTPM上場前の2020年
  3月に福岡へ支店を開設しております。ここから分かる通り、TPM上場の前段階
  で、Q-Board上場を念頭において上場準備をしていたことが窺えます。
  参考:福岡証券取引所「上場審査基準の概要」

2)上場会社としての信用力を活かした事業規模の拡大
 2021年3月にTPMへ上場した琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社をご紹介いたします。
同社は、卓球を中心としたスポーツ関連事業によるスポンサー収入を主な売上としており、上場後は大規模なスポーツフェスの開催を行っております。
 また、卓球の福原愛選手を社外取締役として任命する他、有名スポーツ選手を数多く取締役に任命しており、上場による信用力の獲得をフル活用していることが窺えます。

 先日、サッカーJリーグ、クラブでの株式上場が解禁されたこともあり、今後IPO市況においてもスポーツが注目されることが予想されるのではないでしょうか。
 参考:日本経済新聞 「リーグ、クラブの株式上場解禁 コロナ苦境加味し緩和」

4.まとめ

 TPMが近年注目されている理由について、TPMの特徴とTPMを活用した成長戦略の2つの観点で、お伝えいたしました。2022年4月4日に予定しております東証の市場再編の影響もあり、今後ますますTPMの上場企業数が増えて注目が高まることでしょう。
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2022年4月20日(水)10:30~12:00
2022年4月28日(木)13:00~14:30
2022年5月13日(金)10:30~12:00
2022年5月19日(木)10:30~12:00
2022年6月24日(金)10:30~12:00
2022年6月29日(水)10:30~12:00
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