IPOコラム

【上場時話題になったあの企業に聞く!】テクロ株式会社・天野社長に売上高約1.3億円でFukuoka PRO Marketへ上場した裏側についてお聞きしました

はじめに

スタートアップ企業にとって、新規株式公開(IPO)は成長の大きなマイルストーンです。しかし、その道のりは決して平坦ではなく、多大なコストと厳格な管理体制が求められます。本記事では、2024年12月16日、売上高約1.3億円、正社員わずか5名という少数精鋭体制で、福岡証券取引所のプロ投資家向け市場「Fukuoka PRO Market」の記念すべき第1号上場企業となったテクロ株式会社の代表取締役社長天野央登氏をお迎えしお話を伺いました。同社は、いかにして少人数かつフルリモートという現代的な組織形態でIPO準備を成し遂げたのか、その特異な挑戦の舞台裏を深掘りします。スタートアップ企業の経営者やIPOに関心のある方々にとって、実践的な知見に満ちた貴重な記録となります。

話し手:テクロ株式会社 天野央登氏 

テクロ株式会社CEO。大学2年時のインターンシップでの経験をきっかけに、2016年に起業。当初、海外留学支援Webメディア「交換留学.com」を立ち上げ、約1年半で事業売却に成功。その後、コンテンツマーケティングの知見を活かし、SEOコンサルティング等を経て、2020年以降はBtoB領域に特化し、マーケティング支援事業を本格化させる。「お客さまも従業員も共に大切にしたい」というビジョンのもと、ステークホルダーの成長と幸せの創出を目指して事業を推進し、2024年12月16日にFukuokaPROMarketに上場。

テクロ株式会社ホームページ:https://techro.co.jp/

聞き手:株式会社船井総合研究所 IPO支援室 マネージングディレクター 宮井秀卓

2002年10月~2006年5月、株式会社東京商工リサーチ、 2006年6月~2018年3月、株式会社モバイルファクトリー 経営企画室長としてIPO準備を担当した後、取締役(事業責任者)として、 2015年3月に東証マザーズ上場 2017年6月に東証一部上場に貢献 (IPOにあたっての証券審査、取引所審査共に対応) 2018年4月より株式会社船井総合研究所にてマネージングディレクターとして従事している。

1. テクロ株式会社とはどのような会社なのか

宮井: 御社の経営理念である「モノづくりから、コトづくりへ」について、詳しくお聞かせいただけますか。

天野社長:はい。かつての日本は、ネジに代表されるように非常に高い技術力があり、良い「モノ」を作ってさえいれば売れる時代でした。しかし今は、例えば勤怠管理システム一つとっても、市場には十数個のサービスが溢れていて、お客様から見れば「何が違うのか」が非常に分かりにくい。私たちは、その企業や製品ごとの「ストーリー(コト)」を一緒に作り、マーケティングの力で世の中に自然と浸透させていくことで、買い手と売り手が自然と繋がる世界を目指しています。そのハブになるのが私たちの役割だと考えています。

宮井:サブタイトルに「つなげよう、世界を」とありますが、これにはどのような想いが込められているのでしょうか?

天野社長: これは創業当初から、いずれは世界に出ようという意志を込めています。日本と世界、あるいは国と国との取引を繋ぐ、そうした将来的なグローバル展開を見据えたビジョンです。

宮井:事業の形態としては「伴走型B2Bマーケティング支援」をサブスクリプションモデルで提供されていますが、このモデルの強みは何でしょうか。

天野社長:私たちの支援は、お客様の状況に合わせて最適なマーケティング手法を組み合わせる、いわば「ハッピーセット」のような形で提供しています。そして、これがサブスクリプションモデルであることで、お客様にとっても私たちにとっても、毎月の費用と成果が明確になります。特に私たち経営側にとっては、予実管理が非常にしやすく、事業計画を立てやすいという点が大きなキーポイントになっています。

宮井:お客様はどのような企業が多いのでしょうか?

天野社長:主にB2Bの企業様で、売上規模で言うと中央値で100億円くらい。いわゆるミドルからアッパー層の、ある程度の規模感がある会社様とのお付き合いが多いですね。

より詳しくテクロ株式会社を知りたい方は、こちらをクリック https://techro.co.jp/

2. IPOまでのスケジュール

宮井:6月決算の企業が12月に上場というのは非常に珍しいケースですね。

天野社長:そうなんです。もともとは2025年1月にTOKYO PRO Marketへの上場を目指して準備を進めていました。ところが2023年の5月頃に「Fukuoka PRO Marketが開設される」という正式なプレスリリースが出たんです。私は福岡に住んでいますし、福岡で上場するメリットを感じて、J-Adviserであるフィリップ証券さんと相談し、スケジュールを前倒ししてFukuoka PRO Marketの開設日に合わせることにしました。

宮井:F-Adviser契約が2024年10月とあり上場が2025年12月16日と非常に短期間に見えますが、これはJ-Adviser契約からの切り替えだったのですね。

天野社長:その通りです。IR情報だけ見ると誤解されるかもしれませんが、実質的には2022年6月期にはJ-Adviserとしてフィリップ証券さんと契約し、ずっと伴走してもらっていました。そこからの切り替えなので、標準的なスケジュールで進んでいます。


その他


上場コストについてどのように考えているか

   コストに見合うリターンが明確にある、というその理由は?

・どのような管理部門の体制で上場準備を進められていたのか?

   正社員5名という少人数で、どのように管理部門を構築したのか
   フルリモートならではの上場準備で必要だった対応は?

など突っ込んだ質問にも具体的にご回答いただきましたので、詳細を知りたい方は、ぜひセミナーを視聴ください。

3. 今後、上場を目指す経営者へのアドバイス

宮井:上場を目指す経営者の方へ、企業価値の評価についてアドバイスはありますか?

天野社長:一つお伝えしたいのは、「自分たちが思う事業の価値と、投資家から評価される事業の価値は必ずしも一致しない」ということです。企業価値(株価)を算定する際、PER(株価収益率)という指標が使われますが、これはどの「業種」に分類されるかで大きく変わります。例えば、私たちの事業も「サービス業」に分類されるとPERは約10倍ですが、「情報通信業」ならその数倍になる可能性があります。自分たちのビジネスモデルがいかにユニークかを語るだけでなく、投資家がどの市場の物差しで見ているかを理解し、会社の見せ方を戦略的に考えることが非常に重要です。

4. 今後の会社の成長戦略

宮井:最後に、テクロ社の今後の成長戦略についてお聞かせください。

天野社長 私たちは「コトづくりのハブになる」という構想を掲げています。現在は一社一社のお客様を支援していますが、今後はより社会的なインパクトを高めるために、プラットフォームのような形で多くの企業が「コトづくり」を実践できるような仕組みを構築していきたいと考えています。具体的な事業内容については、今後のIRにご注目いただければと思います。

宮井:本日はありがとうございました。

より詳しくテクロ株式会社を知りたい方は、こちらをクリック https://techro.co.jp/

おわりに

本記事の内容をより詳しく知りたいという方は「上場時に話題になったあの企業に聞く!売上約1.3億円で上場編 売上約1億円でFukuoka PRO Market上場!」セミナーへ是非ご参加ください。

本編では、「F-Adviser・監査法人を選んだ理由」、「なぜFukuoka PRO Marketなのか」、そして「IPOして良かったこと・悪かったこと」などより細かな点に切り込んだお話をしていただきました。

開催日時:

2025年11月20日 (木)11時30分~13時30分

2025年11月27日(木)11時30分~13時30分

開催形式:オンライン開催

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